前受け入試とは?
日本全国各地域の私立中学校は、各地域で設定された入試解禁日を遵守しています。近畿圏私立中学校の2023年度入試解禁日は2023年1月14日(土)ですが、近畿圏外の私立中学校は、この制約の対象外です。そこで、多くの近畿圏外の私立中学校が解禁日前の12月中旬から1月上旬に、大阪市内など交通至便な場所に会場を設けて入試を実施します。一人でも入学者が欲しいという思いはもちろんのこと、受験料稼ぎの打算もあるかもしれません。
進学塾では、この解禁日前の入試を「前受け入試」と呼び、本番前の場慣れを目的に塾生の親御さんに受験を勧めます。ただ、前受け入試にはメリットもデメリットもあります。
前受け入試のメリット
前受け入試のメリットの第一は、本物の入試の経験です。入試の緊張感は、塾の公開テストや業者の模擬テストの比ではありません。大学受験生でさえ緊張するのですから、小6生なら、なおのことです。一度経験しておけば、本番での緊張感は多少なりとも緩和できます。
第二は、モチベーションの向上です。本番前の練習が目的で入学意思はゼロでも、実際に合格を手にすれば、気分は高揚し自信もつきます。
前受け入試のデメリット
前受け入試のデメリットは、不合格だった場合のショックが大きいことです。あくまで練習で合否は二の次と考えていても、不合格を突き付けられると精神的ダメージは免れません。気持ちを立て直せなければ、本番前に大きなビハインドを負うことになります。
前受け入試の現状
現実的に、近畿圏での「前受け入試」を実施する私立中学校は、この入試での入学者はほぼゼロだとわかっています。ですから、合格基準点をクリアすれば定員に関係なく何人でも合格者を出します。その現実を進学塾は認識していますから、メリット優先で前受け入試必須がスタンダードの塾が多いです。とはいえ、デメリットを避けるため、塾生の成績を見て塾が安全な受験校を選定するようです。
逆に、東京や政令指定都市や海外など、他地域で入試を実施する近畿圏の私立中学校もあります。但し、受験できるのは近畿圏外在住者に限られます。
また、2月1日が入試解禁日の首都圏の中学受験生にとっては、近畿圏の私立中学校が「前受け入試」の受験校になります。毎年、首都圏の難関校受験生が塾講師引率の下、新幹線に乗って近畿圏の難関校受験にやって来ます。