いよいよ夏休みが始まりました。受験生の方、また入学して慣れてきた方などさまざまおられると思いますが、それぞれのステージにおいて夏休みの活用法について申し上げていきたいと思います。
1. 受験生の方
受験生の方にとっては、まさに勝負をかけた天王山という時期です。
すでに防衛医大の募集は始まっており(7/1~10/11)、9月になると共通テストの願書配布が、その後11月には推薦入試が始まって、本格的な入試シーズンに入ります。
逆にいえば、今この時期がじっくり弱点補強・実力養成を図れる最後の時期になります。そのことをしっかりと肝に銘じておいてください。すべきこととしては、まずは弱点補強、その後実力養成に入ります。
弱点補強としては、演習量をたっぷりととるようにし、レベル的には数学で言えばチャート、理科で言えばセミナーから重要問題集レベルを使われるといいかと思います。
実力養成としては、まずは今年の入試問題集を解いていかれたらいいかと思います。数研出版や河合塾などから発刊されると思いますので、問題数はそう多くなくてもいいですがじっくり解いていきましょう。
なお、特に高3生にいえることですが、数Ⅲの微積分でつまる方は要注意です、経験上、ここでつまる方はなかなか入試でよい結果が出せません。数Ⅲの微積分は特に演習量がモノを言います。時計の針1周では済まないかもしれませんが、半年後に泣かないため、ここは歯を食いしばってがんばって量をこなしてください。
あと、講習等は取りすぎに注意してください。塾・予備校は経営上あおってきますが、講習は1タームが短い分、しっかりと復習しないと無意味なことにもなりかねません。受けた分はしっかりと復習する時間をとるように時間配分を考えましょう。
2. 高2生の方
この時期が一番楽しい時期だと思います。
ただ、浪人生が口をそろえとぃうのが、「高2のときはよかった~」です。言わんとすることはおわかりだと思いますが、実は入試本番まで1年半です。一般学部の方でも対策を始める時期です。また推薦入試を考えるのでしたら、国公立で4.3、私立で4.0の成績を要求されますから、学校の成績が高位安定するように時間のある今のうちに対策を立てていきましょう。
この時期行うことは、①なんといっても弱点補強、次に②高2の終了時点で未習項目がないよう、特に理科の後半部分の先どりをはかることです。あと③京大実戦等の3年生向けの模試を受けて、自分の立ち位置をしっかりと確認しておきましょう。
現実の話、医学部受験生のかなりの方は失敗します。つまり、1年半後には確実にライバルになるということです。それも自分より1年も2年も余分に勉強しているライバルになります。ですので、まだ高2だからこれくらいでいいやと考えていると、あとあと痛い目にあいます。すでに受験生の一員であるという自覚をしっかりと持って学習に取り組んで下さい。
3. 中3~高1の方
この時期の方は、高校内容を履修している途中ですので、まず習ったところまでのところをしっかりと固めることが必要です。学校から宿題がドッサリ課されることも多いかと思いますので、それも積極的に利用されたらいいかと思います。
これは受験に限らずどんなことにも言えると思うのですが、下積みの時期にしっかりと足腰を鍛えておくと、あとの伸びが違います。どうしても中だるみの出やすい時期ですが、自己コントロールをきっちり行いましょう。
余裕のある人は少し先どりを行うといいと思います。すると同じ問題でも別の解き方が見えてくることがあります。そうするとしめたもので、ちょっとやそっとではつまずかなくなりますし、問題に対する見え方も変わり、成績もかなり高位で安定してきます。ちょっとしたことなので試されるといいかと思います。
4. 中1~中2の方
この時期の方は受験はまだまだ先だし、クラブ活動その他すべきこともさまざまあるので、学習といっても塾の講習をやっとけばいいや、となることも多いです。たしかに1日中勉強ばかりしているのもどうかという面もありますし、人格形成上少し余裕をもつことも必要かと思います。
それをふまえた上で、夏休みにしておいていただきたいことを申し上げますと、①学習習慣の継続、②算数から数学への乗り換えをしっかりと行う、③興味を持つような学習を行う、④中学3年間の内容が2年に短縮されているということをふまえた学習を行う、ということです。
①については、中学入試の重圧から解放され、当時と比べてのんびりしていると思いますが、中学入試はあくまで通過点で本番は大学入試にあるので、この状態がずっと続くようでは困ります。担当した生徒さんの中にも、部屋にはトロフィーがたくさん飾ってあるのに本人はすっかりグータラモード、成績も見る影もなく、という方がちょくちょくおられます。やれば伸びるのに…と思いながら行きつくところまで行きつく方もおられます、そこは充分気をつけてください。
②のパターンの方も結構多いです。算数のやり方で解けるからといつまでもそれにこだわっていると、だんだんついていけなくなって数学そのものが苦手になってしまいます。数学なりの解き方のほうが応用範囲が広いので、切り替えをさっさと行いましょう。
③はなんでもそうですが、活字の上だけで勉強していると小難しいしつまらないし嫌気がさしてきます。具体的な自然現象にふれたり史跡・場所に行くなりして体験から学んでいくと興味も持てるしイメージも立ちやすくなり、自然と学習が進んできます。事実、近年京医に入った生徒はサイエンススクールで学ばれていた方でした。理想形ではありますが、普段はなかなか難しいので時間のあるこの時期にされてみられてはどうでしょうか。
④については、特に中1、中2の履修範囲が時間的に大幅に圧縮されてカリキュラムが組まれていますので、しっかりついていくようにしてください。それと単純な計算演習を多めにしましょう。あとあと財産になってきます。
最後に
以上、夏休みのこの時期にしていただきたいことを申し上げましたが、何より重要なことは、大学入試までのロードマップをしっかりとたてて、その中でこの長期休暇を有効に使っていく、これに尽きると思います。入試までに期間が短いなら短いなりに、長ければ長期戦略をしっかりたてて備えて行くことが大切です。夏休みをムダにせず、短期合格ができるよう取り組んでいっていただけたらと思います。