医学部受験に向けた準備について

現在の医学部入試の環境

医学部入試の難易度の変遷

医学部の難易度は50年前と比較すると非常に上がりました。 まずは現状を認識することが重要です。

国公立医学部の偏差値推移 私立医学部の偏差値推移

70〜90年代にかけての医学部の難易度を見ると、上は国公立大や慶應・慈恵会・日医など偏差値70レベルがある一方で、 下は偏差値50以下とかなりばらつきがあり大学に固執しなければ医学部には入ることができました。 しかし、2000年代以降を見ると偏差値のばらつきがなくなり最低でも偏差値60以上が必要なことが分かります。

このように昔と今でかなり状況が変わってきています。私立大の医学部なら簡単に合格できると考えるのは時代錯誤です。

しかし実際は現在医学部を目指すなら、私立大医学部であっても偏差値65、つまり京大工学部に合格できる学力が必要と言われています。

それでも、ここ数年はまだ落ち着いてきていて、適切な努力を積めば届くようになってきています。

これからの医学部入試トレンド

難易度の傾向ー国公立大は引き続き最難関、私立大は緩和傾向

国公立医学部の志願者数推移 私立医学部の志願者数推移

厚生労働省医師受給分科会によれば医師数は今後供給過剰になることが見込まれるため、近い将来募集人員を絞っていくことが予告されています。 一方、志願者数は、少子化により大学受験生全体が減少しています。 難易度は募集人員と志願者数の兼ね合いから決まるので、さほど変わらないと思われます。 ただ直近のトレンドを見てみると、国公立大医学部の人気は近年高まっており、大学受験生が減少しているにもかかわらず2年連続志願者増加と堅調に推移し、この傾向は引き続き続くものと見られるので、国公立大医学部の難易度は一定は高い状態が続くと予想されます。 一方、私大の医学部については、対照的で年々志願者数が減少傾向にあり、難易度自体は落ち着きつつあります。 ただし、今年と来年の入試に関しては入試制度の変更を嫌って、今まで以上に浪人を避ける傾向が強まることが予想されますので、私大医学部の難易度が上昇すると考えられます。

地域枠・診療科指定枠の増加

地域枠の推移

また、現在医師の都会偏在に対する打開策として地域枠や診療科指定枠という特別枠が国公立大・私立大ともに増加しています。その枠で合格をすると将来医師として活動する上で、勤務地や診療科に制限を加えられます。 当然一般枠で合格するに越したことはないのですが、そうなると相応の学力レベルが要求されるということになります。

入試方式の割合の変化ー推薦型選抜の増加

日程別募集の推移

近年大学入試全体で、高校での成績や面接・小論文等を重視する推薦型選抜の割合が増加傾向にあります。 すでに医学部以外の学部全体を見ると一般選抜よりも推薦型選抜の方が募集人員が多いという状況になっています。 医学部にもこの傾向は見られ、各大学医学部で推薦型選抜の募集人員の比率が徐々に増加しています。 推薦型選抜は学科試験の点数比が一般入試より下がるので、現役生に有利な入試となっています。 こういった傾向から、将来的には私大医学部進学者は現役合格することが一般的となり、 浪人をするのは国公立大志望者で計画的に学力を積み上げて来られなった受験生に限られてくると思われます。

成功のために必要なこと

学習にも「かかりつけ医」が必要〜受験まで俯瞰して導くアドバイザー

こうしたトレンドの中言えるのは、医学入試は大学入試のときだけ頑張ればなんとかなるというものではますますなくなってくるということです。 重要なことは長期的にお子様の学力養成のサポートを行っていくことです。 そのためには医学部受験や各科目に関して深い知識と理解があるアドバイザーの存在が非常に有効です。

現在大学入試は来年4回目となる共通テストに代表されるようにそのあり方が変わってきています。 これまでのようにパターンを練習すれば解けた問題から、物事の根本的な原理を理解していないと解答できない問題になりつつあります。 その上で自分なりに考察して表現しないといけません。 このような入試の変化には予備校や塾は現状まだ対応できていません。

共通テスト得点率の推移

2回目の共通テストの数学IAが良い例で、どの塾や予備校も新しい試験問題に対応できていませんでした。 それもそのはずで、現在の共通テストの数学の問題は基本原理を理解していることが前提で、その上で現実世界の具体的な事象について学習した知識を駆使して考察するという形式で出題されました。 しかし、このようなタイプの問題は学校の先生や塾講師のだれもやったことのない問題です。ですので教えられるはずがないのです。

こうした問題の対応するためには、まず、文章を正確に理解し深く考えられる国語力とそれを表現できる作文力といった基本能力を養い、その上で各科目の基礎を学ぶ段階でその原理や知識に関して、現実世界のどのような場面で関連付けられるのか、人間の生活にどのように役立てられているのか、を常に結びつけながら授業をしなければなりません。 そうしたことは通常の講師にはなかなかできるものではありません。 ですので、塾や予備校では今でも旧センター試験をなぞるような知識偏重、パターン暗記の指導を続けているところばかりです。 知識をインプットすること、演習量をこなしてある程度パターンを身につけることは悪いことではありません。ただし、それだけでは今の大学入試で成功することば難しくなっています。それに加えて、型にはまった一方通行の授業だけではなく対話を通して疑問をぶつけて議論もできるような双方向の学びが必要です。 友達と一緒の予備校に行かせているから、有名塾に任せているから大丈夫というのは今の状況では非常に危険です。

教育サポートの図

このような学習を行った上で、なおかつ学校の成績を常に維持しておくことが医学部受験の成功に繋がります。学習は積み木のように積み上がっていくものですので、一度理解に穴が生じるとそこから上が積み上がっていきません。学校や塾の授業は当然自分がわからなかったとしても立ち止まってくれるわけではありませんので、それが放置され次の単元に進むとそれが元で次もわからなってしまい、結果苦手分野、苦手科目となってしまいます。この苦手に対する対処が遅れれば遅れるほど、取り返すためには時間も費用もかかるようになり、間に合えばまだ良いですが、最悪の場合は志望変更をせざるを得なくなったりしてしまいます。 本当に初期段階でわからないところを見つけられれば、それは10分程度すれば済んでしまうような本当にとるに足らないことなのですが、それを放置することでそれを取り返すために途方も無い時間を要する事になってしまうのです。 定期的にかかりつけ医に診てもらっていて早期発見できれば簡単な処置で済むものを、病院に行かない、症状があっても放置などしていると、最終的に重症となって大手術を要することになってしまうのと同じです。 学習も全く同じです。お子様の模試や定期テストの成績が悪くなってから、個別指導や家庭教師等に駆け込むのは病気になってから救急車で運ばれるのと同じです。そこでいくら表面的に繕ったとしてもそれは対症療法でしかなく、原因の根本的な解決には繋がりません。つまり、わからない問題の解法をいくら教えたところで、根本的な解決にはならないということです。問題の本質はその分野、科目の基礎や原理を本質的に理解していないことが原因なのです。それをわからせないことには医学部への合格につながる本当の意味での実力はついていきません。 だからこそ、病気になってからではなく、信頼できる講師にかかりつけ医のように最初からみてもらうことが医学部受験の成功のために最も効果的なのです。 わからなければ、その都度適切に解説を入れることで、大きな障害なく実力を身に着けていくことができます。またそうすればおのずと学校の成績もよくなり、推薦入試の道もひらけてくるということになります。そしてスムーズに受験期に入り合格を勝ち取っていくことができるのです。

お子様の医学部入試へ向かう動機づけ
山道

ご家庭の方にお願いしたいこととして、お子様への医学部に向けた動機づけがあります。 長年数多くの医学部受験を目指すご家庭を見てきましたので、私は生徒が医学部にすんなり合格するか、 それともとてつもなく苦労するかは数回の授業でわかるようになりました。

それは生徒のその時の学力レベルということでもなければ、地頭の良さというわけでもありません。 それはお子様の動機づけなのです。 これまでサポートしてきたご家庭の中には、お子様を、お父様は歯科医に、お母様は医師にしたいと考えており、 そして当の本人は工学部志望なんて言うこともありました。(結局は医学部に進学)そうなると一筋縄では行きません。

逆に動機づけがうまくできているご家庭の生徒は、医師と言う職業の特性を良い部分も悪い部分も認識した上で強い意志で志望しています。 また医学部入試の苛烈さも認識していて中学生、高1の段階からすでに目的意識をもって学習に取り組んでいます。

医学部受験というのは受験最難関とは言いますが、高校生が受ける高校の学習範囲のテストですので、 その気になりさえすれば受かります。問題はどのようにその気になってもらうかということだと思います。

良い動機づけができている生徒の特徴として、子どもが親の医師としての職業をよく知ってイメージできていることです。 やはり子は親の背中を見て育つもので、医師として働き、苦労している親を見ている子は医師の良い面も辛い面もよく知っており自分なりに考えています。そして多くの子は知ってその上で医師の社会的に意義を理解して尊敬します。 これを持っているお子様は簡単には折れません。これが医学部受験を乗り越えていく突破力に繋がります。

逆にこれは苦労しそうだという生徒の特徴は、生徒が医師の良い面しか見ていない場合です。 収入や生活面の豊かさばかりを見ていて、現実の医師という仕事が見えていない方です。こういう方は芯が弱く肝心な時に踏ん張りが効かないことが多いです。

もしお子様に医師を目指してほしいという場合、親の医師というのは非常に強力です。 医師としての背中を見せてあげてください。仕事に関してすこし具体的に話してあげるのも良いと思います。 それが結局は最も強いモチベーションに繋がります。それを抜きにして、塾や予備校など勉強を押し付けるのは本末転倒です。

ライフステージに応じサポート体制

(代表例です。現実には生徒一人ひとりに策定します。) ライフステージに応じたサポート体制の図

サポートの実例

姉弟2名(京都市)

姉・弟とも中学2年からサポート実施

→ 結果:姉・大阪医科大、弟・京都府立医科大(ともに現役)

両名とも進学校の生徒でしたが、理科が特に弱かったため、まずは理科を重点的にフォローしました。 その結果、高校入学時点には克服しました。塾と学校との両立を図り、各々がばらばらにならないようにサポートを続けました。 また弟のときは姉の指導時から性格などを聞き及んでおり、スムーズに指導に移ることができ、第一志望に難なく合格。 現在は親を担当しています。

ひとりっ子(大阪府南部)

中学2年からサポート実施

→ 結果:近畿大 推薦(現役)

重大な疾患のため、体が弱く、詰めた勉強は困難な状況であり、かつ学校は進学校とは言い難く通塾も行えませんでしたが、 状況を慎重に見極めながらサポートを続け、推薦にて合格。合格後には大学入試後にはテレビに出演するほど回復し、 無事に医師になっています。

3兄弟(兄・妹・弟)(大阪府北部)

→ 結果:兄・大阪大(2浪)、妹・愛知医科大(1浪)、弟・愛知医科大(2浪)

兄の2浪目から担当。兄は有名進学校だが、学習不足で2浪。素地があったので1年で阪大へ合格。 妹、弟はいずれも中堅以下の私立中高一貫校。通常なら医学部を狙える学校ではありませんでしたが、妹は中2より担当しており、 その特性を把握して共通テスト利用でなんとか1浪目で合格。弟はさらにひどい状況でしたが、根気強くサポートした結果2浪目で合格。

ひとりっ子(大阪府北部)

→ 結果:京都大(現役)

高1より担当。素地はありましたが文系タイプだったので理系科目を中心に指導。指導中は数学が大いに伸び、 駿台模試の成績優秀者に上がるくらいでしたが、2年のときに塾が忙しくなったため中断せざるを得なくなり、 その間成績が急降下し、塾でもクラス落ち。 3年生より再開。トータルサポートを行った結果、順調に成績上昇。共通テスト、2次試験ともにかなり上位の成績で合格。

3兄弟(兄、弟、妹)(大阪市)

→ 結果:兄・東海大(現役)、弟・愛知医科大 推薦(1浪)、妹・金沢医科大 推薦(1浪)

兄の高1より担当。進学校に在籍していたが体育会クラブで高3まで活動していたため学習との両立に苦心。 センター試験時に風邪を引いて発熱し入試は困難を極めたが、なんとか東海大に合格(トップ合格) 弟も高1より担当。学力的には兄より少し劣っていたが、特性を伸ばすようにした結果、偏差値70まで伸びたが、 推薦を志望し合格。妹は無名校で学力も低かったが着実なサポートを続け1浪目に金沢医科大に合格。

姉妹(神戸市)

→ 結果:姉・近大、妹・近大(どちらも再受験)

姉の再受験に伴い担当。再受験は環境づくりが難しく、またサポート体制が取れないことが多く、効率は高くないのが現実です。 全体を1から詰め込み直す作業を徹底的に行い1年半で合格。妹は海外在住であったが感化されたのか、帰国して再受験。 海外との教育レベルの違いもあり、学力養成には少し時間がかかったが、これも2年で合格。塾予備校を一切利用しなかった。

その他実例は多数ございます。現在も小学校から担当している生徒等サポートさせていただいています。